もしもわたしが/さくらほ
もしもわたしが秋ならば
都会のビルや街路樹ごしに
優しくあなたに
オレンジ色の陽だまりを届けよう
もしもわたしが空ならば
あなたが見る通勤電車の窓の向こうに
透んだ永遠の水色を用意して
張り詰めたせわしない時を
ゆるやかなものにしよう
もしもわたしが星ならば
小さな星になり
ただ誰かの祈りを一緒に祈りたい
もしもわたしが夢ならば
悲しきものも
冷たきものも
全て抱えて
全て受け止めて
朝が来るまでに消えてしまおう
わたしは何にもなれぬけど
もしもわたしが
誰かの心をぎゅっと抱きしめる事ができたら
それは幸せ
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