秋空の落下/月夜野
 
痛みの果てる淵の辺の
          深みに落として見せましょう
            

     薄墨の空に日は落ちて       
     いるはずのない影たちが
     地底の襞から這いのぼり
     わたしの羽を貪ります
     日傘の紅が矢のように
     わたしの瞳を貫いて――

          
          少しも惜しくはないのです
          逃げ水のような裏切りは
          こころを置き去りにするだけです                             
    
             
     盲いたわたしは羽を失くし
     もはや俯瞰することはないでしょう
     あなたの瞳の中にある
     かつてはわたしの住んだ街
     見知らぬ日傘の行く街を



          

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