脱皮のススメ/琉碧 翡翠
れて、甘い痛みと疼きを脳にもたらす。
…そう、カサブタを剥がすような感覚に良く似ている。
やがて古い皮を脱ぎ去り脱皮が終わると、あることに気が付いた。
どうやら、古い皮から出てきた新しい私も、私であることに違いはないらしい。
でもそれは、今までの私とはやはり少し違うような気もするのだ。
私であるような、私ではないような新しい私は、椅子に大人しく座っている古い私の皮をムシャムシャと食べ尽くし（あまり美味しいモノではないね）、元通り服を着ると玄関のドアを開けて出て行ってしまった。
やれやれ、脱皮とは全く面倒臭いモノだとは思わないかい？
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