黒の歌/はらだまさる
虚栄の裏で
腰を振っている
強く、その手を
握り合って
つるりとした
女が噛み潰して
滲んだ、
跡形もない
不実な霊感が
グラスの水に
無様に溺れて
その白い首筋に
優しく突き刺さる
真っ黒の、
速度をあげて
全体子の洩らす
喘ぎを嗅ぎ分けて
貪るように
消化して
奥行きのない顔の
奥歯に挟まった不安を
その渦巻く、
黒で
黒と黒に
速度をあげて
天使の声で
嘶いて、
噛みしがく
未熟な放蕩を
黒と、黒に塗り潰して
もっと黒に鼓動を、
黒と黒に
黒で、
黒の
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