2つの月/松本 涼
 
今夜の空に2つの月が浮かんでいる

どちらもまあるく太った月だ

その色もその形もまるでそっくりおんなじなのに

照らすあかりは全然違う

右の月は煌々と

くっきり僕らの影を創る

左の月はほんのりと

優しく僕らの道を創る

どちらかひとつを明日の空に

浮かべたいけど

どちらの月を選べばいい

僕にはまだ選べない

夜が明けてもわからない

途方に暮れた僕の姿をくすりと笑って

消えかけた2つの月が僕に言う

「選ばなくても大丈夫

 自然とどちらか浮かぶから」




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