狩人/士狼(銀)
 
月光が、眩しかった

4

脆い廃墟の隅で
人の子供が死んでいた時

5


6

ばらばらの部品が
ただひたすら愛を叫ぶ

7

暗い森の湖畔で
狼の子供が泣いていた時
その母は僕が殺したのだった
子供の涙に心臓がぎゅっとなって
その眼を奪って入れ替えた
子供は鹿に食べられた
我知らず泣くその眼の涙は温かくて
僕は嘘を覚えた
大丈夫だと、根拠のない嘘であやした

8

小さな白い小屋で
初めて貴女が笑ったとき
初めて僕に笑ったとき
貴女が綺麗だと仰ぐ空や
貴女が綺麗だと触れる硝子玉よりも
僕が奪ってきた何よりも
貴女の笑顔が綺麗だと思った
その笑顔が愛(いとお)しかった

9






10

そして僕は神の存在を知る
裁かれるべき原罪に
全てを払拭する贖罪を重ね






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