水族館2.0/10010
そんなのやめとけって。それより、今日のセレネー、どんな味かなあ。そんな会話に、彼は不満げです。すると、ふと彼は、月の光が差し込んでいるのに気がつきました。可笑しいな、まだ王様のおふれが出ていないうちから。彼はその光に一人そっと近づき、その光の差し込んでくる方向を仰視しました。そこには真ん丸のお月様があり、月もまた彼を凝視しているようでした。彼も他の魚たち同様、月が好きでした。今までも、月明かりの下、何度となく語らってきたことでしょう。ぼくは「表情」が欲しい。ねえ、お月様、あなたはどんな顔をしているの。どんな「表情」をしているの。あなたの本当の顔はどんななの。その裏側はどんななの。
しかし、
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