水族館2.0/10010
 
その中を無数の歯車が回転しています。歯車は、魚たちによって構成されており、魚たちの群れが喧しく円陣を描き、踊り、祈ることで、湛えられた水を照らし出す月の光が観測されるのです。魚たちは観測の終わった月の光を食べることを許され、そうやって歯車は動いていきます。歯車の循環する周期も様々であり、たった数匹から成る小さい歯車もあるかと思えば、世界の寿命よりも一回転の周期の方が長いために一端過ぎ去るや決して一巡してくることがないといわれる巨大な久遠の歯車もあるといいます。それら歯車は迷宮のように、様々な方向に絡まり合い、噛み合い、あるいは周転円を為し、刻々と角度を変え、時を刻むように、色とりどりのスピードで、
[次のページ]
戻る   Point(4)