子どもの隣り (灰谷健次郎さんを偲ぶ)/まほし
わたしのなかにも
ちいさな子どもがいて、
大人になってしまったわたしを
おおらかに抱きしめているのだろう。
それに気づかせてくれたのが
あなただった。
小学校の先生をしていたという
あなたは
ちっとも先生らしくなくて、
先に生きることなんてしなくて、
隣りに寄り添って話をしてくれるような
そんな陽だまりのような人だった。
いのちは
けっしてちっぽけではなくて、
自らぐんぐん伸びていこうとする
巨木を秘めたドングリのようにたくましくて、
どんなに重いくもり空を背負っても、
みんなの痛みを忘れたりなんかしない。
こころをぎゅっとしぼれば
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