月のこり/船田 仰
 
停滞気味の睡眠欲を尻目に
ねこの声がききたいなあとおもう
あんまり飲み込みすぎているこのごろの月に
だらだらと自己申告しつづけている

どこで誰がいなくなったのかもしらずに
歩道橋にぽつぽつと雨粒がおちる
カサによってできるフィールドは
あんまり好きじゃない

電話でも玄関口でも
さよならはジーンズにはりついて離れない
願わくば素敵な言葉をつまみとって
ミジンコのようなたくましさによって満ちたい
ざわわわわわわ
フィールドはどこにでもある
あしたは六時にめざめる手筈なのに
停滞気味だなんてね
ノックアウトしたはずの悲しみを
また、思い出してしまう

トーキ
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