ラムネ瓶の夢/三州生桑
てゐるのだった。
私は、その子に向かって、ラムネ瓶を振ってみせる。
カランカラン、カラカラカラカラ、カラン・・・。
好奇心にあふれた、キラキラとした瞳!
周囲には、誰もゐなかった。
駄菓子屋の婆さんでさへ、家の中に引っ込んでゐる。
ふと、私は悪戯心を起こし、ラムネ瓶を夕空高く放り投げる。
魔法のラムネ瓶は、ゆっくりと放物線を描きながら―――男の子は息を飲んでラムネ瓶の軌跡を目で追ってゐる―――ほの暗い貯水池に落ちる。
そして、私は家路についた。
その夜、男の子はラムネ瓶の夢を見たのだらうか。
不思議な、ほの暗い、ラムネ瓶の夢を。
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