あの向こうへ/花丸ぺけ
夢の中で飛礫(つぶて)投げる
つんつんつーんと、水を切って、飛んでゆく。
つんつーん、つんつんつん、と水の中へ吸い込まれて行く。
岸の向こうまでは届いた。
でも、涙が止まらない。
雨の新宿駅であなたを待たせたのはぼくのようだ。
止まらないのは涙で、ぼくの後悔はやまない。
(でもほんとうに、左の目からポロリと涙。)
あなたが飲んだその粒粒を吐き出させて胃を洗い、汚れた顔を濡れたふきんで拭いてあげた。
止まらないのは涙で、ぼくの後悔は水の中に沈んでいる。
そのままゆっくりと、あの、むこうへ。
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