にっちもさっちも幻想/蒼木りん
にっちもさっちもって
そろばん用語だったんだなあ
知らなかった
こころは動いてるさ
だけど
頭と身体が動かない
どー にも駄目だ
あしたが
止まってしまうような
この世の仕組みに乗っかれないような
絶望
もう
にっちもさっちもいかない
思考停止状態
風邪をひいて
何ヶ月も干していない布団にもぐりこむ
冬の空気から
それでも温めてくれる
自分の匂いのしみこんだ布団
転んだ拍子に
わらしべつかむときが来るかもしれない
まだそんな
幸せなこと考えている
悦びは束の間で
みんな持っていかれて
壊れかけの身体で
今日を超え
明日を越えて
わたしは
どこに流れてゆくんだろう
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