香/クローバー
きはそれがいつか、結局わからなかった
8
じいちゃんも赤ん坊のままの叔母さんも
無限大で寝転んでいて
白い部屋の心電図は、長すぎる一つの山を書いて末広がるだけ広がって
水平線になったので
ばあちゃんも
無限大になって寝転んでいた
9
「苦しいのはいつも残されたものだけだよ」
ばあちゃんは、一度、そんなことを呟いた
偶然聞いていた僕は答えた
「ついていけばよかったじゃん?」
今思えば、なんてひどいことを言ったのだろう
無知は罪なり、小学生でも
10
ばあちゃんは、じいちゃんと叔母さんに
ただいまを、言いに、ちょっと遠くへ行った
仏壇の上
ばあちゃんは、二人の隣に、並んで、やっぱり微笑んでいる
叔母さんは、ばあちゃんにも、もちろん似ていた
もちろん、僕もばあちゃんに似ていた
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