ベッドタウン/佐野みお
 
今夜この街の二十万のベッドの何割かの上で
愛が倦み、愛が生まれ、愛が壊れる。
ベッドは一つの水準である。
ある部屋のあるベッドに潜り込もうと
住民たちは昼間、さまざまに図り
汗を垂らし、涙を流し
結果として今夜それぞれの理由により
ベッドで眠ることに
成功したり失敗したりしている。

 少女は夕暮れとともに目覚めた。
 コンピューターに向かい
 オンライン・シティーに足を踏み入れる。
 少女を歓迎してくれるのは
 シティーの者たちだけだ。

  夜の重量と戦う老人がいる。
  戦い疲れうつらうつらしかけたころ
  毎日朝はやって来る。
  睡眠薬は本当に効果が
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