みどりこ/
ピクルス
てゆく塩辛い水を
いっしょけんめいに撫でていると
すこしずつすこしずつ
すまなそうな顔をした魚が
赤ん坊の頬の色した巻貝が
童女の髪を梳くように海藻が
此処にくると
幼子を喪った母達は
また純粋な流れになって
口紅をつけない母の詩になるそうです
乳を腫らせたかたがたは
数珠を左の手に握りしめ
玩具を右手に大事そうに抱えて
みどりこに向かって
ごめんねごめんねやっとあえたね
と口を揃えて云うのです
それはそれは
うれしそうに
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