apology/yozo
アカルく陽がさすから。
誰にでもなく呟く唇を
言い訳の形に歪めて笑う
春だ
少しもたついた雨が
桜前線を押し返したように見えた
三分に留まった枝はしなだれ
薄紅に染まりきっている
黙りこんだまま俯くキミの目尻みたい
薄紅に溶けて耐えている
キレイだ
ごめんなさいなのかありがとうなのか
ほんというと両方とも違った
始まるから終わるんだ、と
死に際に言った父の言葉くらい
今でも理解したくない
今年は暑くなればいいと思ってる
そう
しっとりと花弁を開きはじめた桜に呟く
春だ
泣きたいのかもしれない
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