apology/yozo
 
アカルく陽がさすから。
誰にでもなく呟く唇を
言い訳の形に歪めて笑う
春だ
少しもたついた雨が
桜前線を押し返したように見えた
三分に留まった枝はしなだれ
薄紅に染まりきっている
黙りこんだまま俯くキミの目尻みたい
薄紅に溶けて耐えている

キレイだ
ごめんなさいなのかありがとうなのか
ほんというと両方とも違った
始まるから終わるんだ、と
死に際に言った父の言葉くらい
今でも理解したくない

今年は暑くなればいいと思ってる
そう
しっとりと花弁を開きはじめた桜に呟く
春だ
泣きたいのかもしれない

戻る   Point(2)