イメージ・ストリーミング/加藤泰清
く大きく膨らんでいる袋がある。彼は間違いなくサンタクロースだろう。トナカイは鼻が赤いということもなく、全身茶色で、高さはサンタクロースの腰ぐらいで全長も百六十センチほどしかない。獣臭さが鼻につく。ソリは木で作られていて、木の箱にスキー板がくっついたような形だ。かなり年季が入っていてとても脆そうに見える。人ひとり乗るのがやっとというようなソリから、袋は今にも溢れ出そうだ。サンタクロースはその袋の中をゴソゴソと探っている。私の体は寒さを思い出し始めている。ぶるぶると震えながらサンタクロースを不安げに見つめる。サンタクロースは袋の中から蟹を取り出す。あれは先ほど見失った蟹だ。サンタクロースは蟹を私の頭に
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)