イメージ・ストリーミング/加藤泰清
頭に押し付ける。蟹はハサミで私の頭を切り取っている。不思議と痛みは感じず、私はされるがままだ。皮と骨がはぎとられる。肉を引き千切っているかの様な音と、骨が折れる時の鈍い音がしている。脳味噌が丸見えのようだ。サンタクロースはまた袋の中に手をいれ、金色に光る脳味噌を取り出す。サンタクロースは私の脳味噌をデコピンで弾き飛ばす。脳味噌は弾け、私の頭は空っぽになっている。サンタクロースはそこに金色に光る脳味噌をはめ込む。そしてサンタクロースは指をパチンとならす。目の前は霧状になっている。全ての風景が砂のように崩れていく。
気が付くと私は白い部屋の中にいる。新築の家の匂いだ。床はなにでできているかわからない。硬く白い。右の壁に窓が一つだけついていて、そこから朝日が差し込んでいる。部屋には家具も何も無く、全身が写る鏡一つしかない。私はその前に立つ。自分の脳味噌が光り輝くのが見える。
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