イメージ・ストリーミング/加藤泰清
 
ずなのだが、そこにはなぜかシュプールがある。するとその先の水平線(氷平線とでも言うのだろうか)から何かがやってくる。顔の半分から下は既に感覚が無くなっている。しかし、息はできないのに、まだなぜか私は生きている。脳がボーっとし、目の前の光景への興味が薄れていく。突然両頬に痛みが走る。目を開けるとそこには真っ白で豊かな口髭をたくわえた、貫禄のあるおじいさんがいる。どうやら私はこの人に頬をはたかれたようだ。
彼はサンタクロースの帽子を被っている。サンタクロースの服を着ている。サンタクロースのズボンを穿いている。彼の後ろには一匹の普通のトナカイと、トナカイと紐で繋がっているソリと、ソリに積んでいる白く大
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