国の境/竜一郎
 
  くに に さかい が ありました
 おそら に いる こども の てんし は なきました
 もう だいち に きず を つけないで、と。
 かれ の ちちおや が やってきて
 もう おわり に しよう! と いって
 て を おおきく ひろげた かと おもう と
 ひろい おそら から おおきな かみなり が
 ど どーん、と ふりました。
 した に いる ひとびと は
 その かみなり で こわれた いえ や
 なくなった だいじ な ひと を しのびました。
 その あいだ こども の てんし は 
 ちちおや の むね の なか で 
 なきつかれて ねむっていました。
 ひとびと は その あいだ だけ
 あらそう こと も わすれて
 ただ かなしんで いたのでした。
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