小さな一人旅/李恵
 


ホテル。
玄関から堂々と外へでた。ボーイにはチップをわたし、夜風に当たるとだけ。
両親、姉、弟には何も言わずに。
誰も気づかなかった。なんか、切ない。
ささやかな反抗、抵抗、小さな小さな反抗期。


公園をみつけた。
ホモセクシュアルが今日のお相手を探すために破廉恥な格好で公園を歩いていた。
見るに堪えない姿、新しい世界、これこそ未知の世界。


公園の池をみると子供の頃が蘇える。
父が録画してくれたホームビデオの中には私と姉が花を観察している様子が写されている。
動物と戯れている姿が写されている。普通の子供がするような乱暴で無茶苦茶な怪我がつきものの遊びは一切
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