こんなにも長い/ウデラコウ
君が おやすみ。と言ってから
僕が おはよう。と言うまで
こんなにも長い
時間を
僕はもてあましたまま
深い深い 暗闇に沈む
そしてまた ぼやけた時間の中で
追いつけない君の背中を
探して探して 憔悴しきるのだ
風邪が治るまで
食べてはダメだよと
君がとりあげた ドーナツを
コンビニの隅で 見つけて
その前を5回往復したあと 僕は内緒で買ったんだ
風邪なんて 治るわけないじゃないか
君を探しすぎて 僕の心が 大風邪ひいてるというのに
酷く沢山の人が 過ぎ行く空間で 眩暈をおこしそうになりながら
不安定なこの体を支えて 君に届くようにと
こんなにも長い間 叫び続けているのに
どうして 君が 見つからないんだろう
あの眩しく暑い暑い 朝日の中 君は すぐに 僕を見つけたというのに
切り取られたように 美しい 雲 を まどろみの中 見上げて
今日も 同じだけ遠い 場所から
君の穏やかな声が 僕の名を 呼ぶことに
静かに静かに 涙を零すのだ
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