五百円玉/はらだまさる
けどな、
お医者さんがそう言わはったんや。」
当時の僕にはそのことがうまく理解出来なかった。
「全然聞こえへん訳ちゃうから
普段の生活には何の心配もいらんのや。
けどな、ちょっとしたことで大きな事故が起こるかもわからん。
そやし、お兄ちゃんのお前がヒサコのこと
ちゃんと守ったらなアカンぞ。わかったか?」
なにかわからないけれど、
ヒサコを守らなきゃいけないと云うことはわかった。
それ以来、僕は学校が終わると家に真っ直ぐ帰って
彼女を連れていっしょに友達と遊ぶようになった。
友達が遊べないときは、二人で日が暮れるまで遊んでいた。
いつも僕が学校から帰ると、食卓の上にはお
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