オレのトレンチ/知風
オレがマンホールから飛び出した朝
世界は平行四辺形だった
次に現れたのがビッグバンの犠牲者みたいな
あきれたニキビ面の看護婦で
オレの高貴にして好奇なる富士額にキスしたから
夜露死苦と挨拶代わりにヨダレをつけてやった
それから始まるワンダーランド
気がつけば村営でずにーらんど
オヤジが卓袱台をメンコみたいにひっくり返して
なおかつキレイにおダイフキで後片付け
なんて奴ならオレのオシメは
半世紀前には取れてたはずだが
こどもちゃれんじ並みに
チャレンジ甲斐のない生活で
味噌汁椀が深夜のゴキブリみたいに
部屋中飛び回るなんてこともなかった
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