代わりに舌打ちを/Keico
言えない言葉がある
小石みたいに足元には沢山散らばっていても
こんなに寒い風が吹く夜では
指先の感覚はどこかに飛んでいってしまって
なかなか掴めない
そいつはどうしても言えない
それには理由なんていくらでもある
カップの底にたまった
砂糖の砂利のように
頭が痛くなるほど甘い言葉だし
水分を含んで
ますます重くなる
どろどろしたそいつを
どうにかして
さらりと言ってやろうと
私は君の腕の中でもがくのだけれど
当たり前に全く動じない君を見て
そいつの代わりに
またそっと反抗の舌打ちを
にやりと笑う君のわかったような顔が
不覚にも私の心臓をぞわりとさせた
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