毎朝が来るまで/湾鶴
1.
内ポケットに入り込み
しっかりとボタンを留める
頭を膝にうずめて
もれてくる光が無いことに
安堵
2.
予感と習慣から
ふいに
ひたいに張り付いた前髪をかきわけ
顎を上げると
亀の海鳴りが
聴こえたような気がした
3.
ぼんやりとした感覚のなか
北緯35度の体温は急激に奪われ
温泉・クリームスープ・毛布・肌・
ストーブ・おでん・縁側・熱燗・
炊き立てのごはん・・・
連想しても
さらわれてしまい
集められた絵空事は
徐々に熱を帯びはじめ
縫い目の奥から刺激となって
今日も表れて来る 朝日
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