花壇のわきで/
佐野みお
を育て始めてしまった
ぼくには水遣りができないくらい
知らぬ間にそれは大きく育っていた
ぼくは屈んで撫でられるような
小ぶりな花のことばかり考えていた
花壇のことを考えていた
花壇のことを考えているのは
気がつくとぼくだけだった
あなたが夢を咲かせたのかどうかも
今のぼくは知らない
ぼくは小さな小さな花壇を手に入れた
秋の花があふれそうに咲くわきで
あなたにこの花壇を見せたいなどと
時おり考えることもあるのだ
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