スロウ ワルツ/ウデラコウ
凛とした空気の中
唯一の色が 始まり行く姿に
一度だけ背筋を伸ばして 僕は
ワンフレーズのみメロディを口ずさむ
宵の終わりに 見たワルツ
三拍子の一拍目
誰も知らない 似て非なるものが混ざり合う瞬間
三倍速で過ぎ行く人の波を抜けて
隅の隅で 命を繋ぐ
喧騒を謝絶して
耳の奥に微か響く ワルツを聴き取る
思い出にはならない 架空の音色
三拍子の二拍目
贋物の愛に 真実が涙で彩(いろ)をつけた
暗闇に溶けた道標は そのまま探し出さないことにしよう
まやかしの中に一つだけ 微かに呼吸するワルツを見つけた
それは獣の声に 些
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