天井桟敷に上がって/竜一郎
 
彼は終わったことを知らない
彼は終わったことを知らない
だから裸足で駆け回る
放蕩息子の気軽さで
幼年時代の無邪気さで
気ままに主役を演じきる

彼は終わりを知らない
彼は終わりを知らない
始まりなどは露とすら
知らず思わず考えず
ひたすら浸って遊んでる

「バア」と出てきた道化師を
からかい脅して銃殺した


 は
  知らない
   知らない 
    知らない

壇上が拵えられたこと
道化が賢者であることを
銃弾に限りがあることを
なんにもなんにもなあんにも
知らないまんまで居続ける
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