太陽の偽善月の憂鬱/プル式
 
ちゃぷり、と
月は青空のお風呂に浸かり
朝陽に白く霞んだ

今日も随分と
夜を照らしたものだと
そっと呟く

早く寝よう、と
いつも思っているのに
太陽と話し込んでしまう

長く浸かり過ぎた青空が
温かくなりだす頃
溶け残った薄氷のように
月はふやけて
眠りに落ちた

月が目を覚ますと
太陽は冷たく海に潜る
おはよう、も
さよなら、も
何にも言わずに

海の底で太陽が海草の布団に潜る頃
月は静かにその海を眺める

口ずさむ唄は太陽の子守唄
明日も太陽が世界を照らしますように

月の雫がさざ波を造る頃
太陽は目覚めて動き出す

今日もまた太陽がのぼる
海は少し塩辛くなる
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