愛の墓場/ロリータ℃。
 

 窓から差し込む青く透明な光に、ベッドで眠る彼の顔が夜明け独特の清浄な暗さに染められていた。
 こうして彼の寝顔を見るのは久しぶりだ。ぐっすりと眠る彼の顔はとても疲れていて、羽を休めるぼろぼろの小鳥のようだ。心が痛んだ。かつて輝いていた青年は今とても疲れている。その疲れさえ、自分の価値の一部だと思い込んで。

 彼とは学生のときに、旅先で出逢った。日本人でお互い一人旅だった私たちはまるで運命のような出会いに燃え上がり、日本に帰るまでには恋人同士になっていた。彼はカメラマンを志していた。短期のバイトを幾つも掛け持ちし、お金が貯まったらすぐに旅に行ってしまう。私はその自由さが好きだった。型に
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