ピラニア/「Y」
 
帯魚店に着くことができた。
 自転車を停めて店内に入ると、髪を金色に染めた、若い男の店員が奥から出てきた。店員は、僕に向かって笑いかけながら言った。
「やっぱり来たね」
「やっぱりって、どういうことですか」
 僕が訊ねると、店員は、すこし得意げな様子を見せながらフフンと鼻で笑い、
「一昨日、あのピラニアを眺めていたときの君の顔を見て、何となくそう思ったんだ。また君がここを訪れるんじゃないかとね」
 と言った。僕が返答に困り、無言のままそこに突っ立っていると、店員は更に言った。
「水槽の中で泳いでいる熱帯魚を見て、いいなあと思うということは、とどのつまり、飼いたいなあと思うのと同じこと
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