ピラニア/「Y」
 
にそう言い足した。そして、
「君はあまり知らないようだね。ピラニアのことを。魚を飼った事とかはないの」
 と、逆に僕に向かって、すこし心配そうな顔をしながら訊ねてきた。
 僕が店員に、金魚いがいの魚を飼ったことは無いと答えると、ピラニアの泳いでいる水槽を指差しながら、更に僕に訊いてきた。
「ふーん、そうなんだ。君は小学生だよね。なんでこいつを好きになったの」
「なんでって…… 凄く綺麗だから」
 僕の言葉を聞いた途端、店員は急に上機嫌になり、笑いを堪えるような表情を浮かべながら何度も頷きはじめた。
「何が可笑しいんですか」
「ちょっと意外だったものだから。つまり君が、ピラニアの獰猛
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