ハローグッバイ/青山スイ
森の中を歩いていた
何かを探しているわけでもなく
何かに追われているわけでもない
ただ単に 森の中を歩いていた
しばらく歩くと ある空間に辿り着く
おそらくは森の中心なのだろう
大きく空が開けている その場所には
ソファーやテーブルそれにベッドもあって
もちろん美味しいコーヒーや灰皿もあって
少女がソファーに座って煙草を吸っている
僕はためしに笑顔を作り
こんにちはと言ってみた
少女は無表情のままコクリと頭を下げて
ありえない話よ、と言った
僕らはコーヒーを飲みながら
朝まで入口と出口について語り合う
繋がっているのよ
少女は最後にそう言って
初めて笑ってくれ
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