車窓/セキラボ!
 




風が商店街の路地で
空から見れば沈殿している
バス停からそれを眺めて
タバコを一服、宙に吐いた
背広を着込むようになってから
時々、神様の音を探して
じっと耳を澄ましている
空は白く晴れている



空は白く晴れている
僕は自転車に乗って
この細い路地を抜けて
君に会いに行く
春の匂いがあたりに満ちていて
鼻腔をすっとくぐっていく
ああ、体に
僕のこの体に
音楽が満ちみちている!
君の甘やいだ曲線に
静かに旋律が沿っている!

土手に出ると
桜が一斉に散っていた
君のおぼろげな全身が目に飛び込む
胸の線に息を呑んだ
君は甘い微
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