[ 路 ]/渕崎。
耽溺するはわたくしの血液に溶け込んだ
幾千錠という薬物たちの澱
ぐるりぐるりと
この身体の隅々まで余すことなく
細やかに張り巡らされた血管を抜け
微量の毒は澱と成り沈殿す
酩酊するわたくしの爛れた脳髄は
幾千錠という薬物たちに溶かされて
ゆるりゆるりと
この身体から溶け出し零れ出し
記憶すら浚い行く
これは天罰であろうかなかろうか
幾重にも重なり合い原型をなくした皮膚の引きつり
脳裏に木魂し耳を劈かんばかりの高音は
弱きわたくしへの戒めか
ならば甘んじて受け入れませう
この身体を蝕む幾千錠という薬物と
この精神を蝕む幾千万という事象とを
わたくしは喜んで受け入れませう
わたくしは生きることを選びましたらば
過去の償いはいたします
愚かだった頃の幻影を引き連れて
わたくしはわたくしの路をひっそりと歩いていきませう
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