秋から冬へ/
まほし
その歌のはじまりとおわりを
わたしは知らない
空を見上げたとき
耳元で起きた風が
どこから来て どこへ行くのか
わからないまま
歩き出してしまったように
それでも歌は
足元を流れるので
進まずにはいられなかった
髪を束ね 耳飾りを外し
両脚の内側でジーンズが
規則正しく擦れるのを聴きながら
やがて空は蒼さを
風は寒さを累乗して
木々はいっせいに葉を散らす
むきだしになった宇宙に
次々と枝をさらす木々も
果てしない流れにアンテナを立てている
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