父の鏡/Fnoon
雅、お父さんの禿はな、太陽を映す鏡なんだ。
ほら、見なさい。りっぱにお父さんの頭には太陽が光ってるだろ。
太陽みたいでかっこいいだろ。
小鳥さんたちもさえずりながら、お父さんのはげ頭に近づいていくるんだ。
雅、うらやましいだろ。
だけどな、そんな時ひとつ問題があるんだ。
小鳥さんたち、頭に止まろうとしたら、ずっこけちゃうんだ。
お父さん、タオルで毎日ごしごししてるからな。
でもな、ものすごく悲しいんだぞ。せっかく来てくれたのに、止まってくれないんだ。
だから、彼らのためにお前の髪の毛分けてくれないか。
いや、ふさふさになりたいんじゃないぞ。
お父さんの頭は植毛したって、その後も輝き続けるんだ。
髪の毛ふさふさになっても、禿の輝きはお前の心に残るんだ。
それにな、お父さんに髪の毛分けてくれたら、お前の頭も立派な光を放つんだ。
小鳥さんたちも近づいてくるんだぞ。
いいだろ。
だから、同情するなら髪をくれ。
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