ペンを投げ出して/
Fnoon
ペンを投げ出して
仰向けに寝転がった
蛍光灯の周りを
一匹の蛾が
縋りついて飛ぶ
あの蛾が
光のもとで半狂乱に
踊り狂う姿は
今の僕と同じようで
眩暈がしてしまう
現実を見ろよ、と
誰かが片隅で
呟いた
その声を耳にした途端
四方の壁が
迫ってきた
僕は六畳の部屋に
連れ戻された
諦めたように
窮屈な部屋で
僕は自分の手を
見出だすばかりだ
一遍の詩さえ
書きあげられない
この出来損ないの僕の手を
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