薔薇の想い/茉莉香
この植物公園に薔薇の花が咲いております
あの日貴方と歩き回った道は今でも変わらず
芳しい香りを満たしております
貴方に抱かれることだけを想い
この日を待ち望んでおりました
後悔はしておりません
涙は薔薇へ注いでください
この体思う様に動かなくとも目はもう開かなくとも
薔薇の香りと貴方に包まれ他に何を望むのでしょう
孤独と戦う毎日に初めて安らぎを満たしてくださった
この体に初めて快楽の文字を刻み込んだ
貴方をなぜ恨むことができるでしょうか
ひとつだけ嘘をついたことを謝らなければなりません
私の体はもう数日しか持ちませんのに周りの人と同じように
同じように貴方を愛してしまいました
忘れないで欲しくて一番残酷なことをいたしました
苦しい顔をしないでください
私はこの逢瀬を望んでしまったのだから
ここで朽ち果てたのは運命だったのでございます
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