北と南のあいだ/とうどうせいら
 

雨が降ってくると
金沢を思い出します。
金沢は年間六十日しか
晴れの日がありません。
大体曇りか雨です。

空はいつも
ブルーグレイの薄雲がかかっています。
雲のない日も、
空は水色に水分を思いっきり含ませて
限界までのばした、
頼りない色の青空が広がるだけです。

北九州の空は
くっきりしたスカイブルーで
きらきらした光の微粒子を散らしながら
(わたしにはそういう風に見える)
高い高いところで
天幕を広げています。
湿度が低いので、
からっとした爽やかな風が
白い雲を刷いていきます。

福岡の空はいつもきれ
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