*琥珀と私・その3<試論無修正版>/知風
 
なっていた時
少年の村では墓掘り人まで殺されていた

少女の国は平和になった
少年の村が地上から消えたから

少女の国の隣国の尼僧が騒ぎ立てて
少年の村に碑が立った

少女の国の隣国が戦車で攻めてきて
少年の村の仇討ち気分でビールを飲んだ

少女の国の人々が政治家をみんな殺して
少年の仇討ち気分でビールを飲んだ

少女の国は平和になって
少年の像が広場に建てられた

だけど少女の国の片隅では
アイロンで背中を焼かれた子供が
左胸から血を流す母親の躯にすがって
その名をずっと呼び続けていた

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