虹から/船田 仰
真夜中、どうしようもない文をきみに贈って
遂にどうしようもなくなった
靴下一枚ぶんだけあたたかい非常階段で
かどっこの感触を親指でたしかめる
しんどいなあ
でも息はできる
やっぱり拡張されたせかいには
ぼくの居場所は、うーん、どうかな
ニュースを言葉にすることもできない
そんなぼくはいりませんか
だれに
知らせるの
もっともっともっと体中
いやなものばっかり
見えなくても真向かいのショッピングモールは電灯を
ぴかぴか、電灯をけさないで
ちかちか、けして
ひつようだとおもったけどちがったみたい、だってしんどいもん
言えないけどね
中指に穴があることを発見した
泣いてやる
と
なかないぼくは夢想した
一粒だけたすけてくれたら
(ごくはっきりと)
楽になれるから
せめてこの非常階段のうえで
煙草吸いかけて
やめることにするんだ
にっちもさっちもいかないね
(いかないね)
もう虹みえない
過ぎちゃった
すぎちゃった
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