空が悲しくなると僕らはいつも/霜天
 
月を落せると信じていたから、いつか触れようと誓い合う。


ゆっくりと近づいてくる景色を、
遠ざけようと、するために眠る。
いつからか儀式となった風景を、懐かしいと君が言った。
首をかしげるという仕草、を真似るように玄関を開けていく、
君を、君たちが取り囲むようにして外へ連れ出す。
いつの間にか空は秋色で、
望遠鏡で覗いた世界は一筋の光が込められている。
昔から足跡が跳ね続けていた道を、想像することなく超えること。
おそらくは落ちていくためのこと。満ちていくための手段として。
空が悲しくなると僕らはいつも、
さよならとさよならとを混ぜ合わせて、明日に似た空間を作った。

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