あきあおそら/水中原動機
この秋一番の寒さの朝は
心地よいくらいのひんやりで
窓あけ放してみたら
いっぱいガラガラが出てった
ここは海からも山からも遠くて
かといってビルからも遠くて
何があると言っていいやら
何もないと言うのか
すべり台ならひとつあって
いつも朝いちひとりで
すべってる子がいて
話しかけても返事しない
ブランコは壊れていて
使用禁止と書かれていて
誰からも目が届かなくて
いつもいつも所在ない
鉄棒はさびついて
逆上がりの亡霊がいて
触れるとこっちまでサビサビ
いいやどうせ出来やしない
ないないないばっかりで
あるもの探してみたら
目に入ったのキャッチできない
電波時計だけだった
ひとしきり泣いて
見上げたら青空だった
雲はたくさん在っても
青い青い空だった
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