Août pourri/Utakata
 


白い光の下で八月はゆっくりと腐っていく
粉々に飛び散った十四歳の欠片たち
世界など終わればよかったんです
世界など終わればよかったんです

恐る恐る触れた背骨の上に走る電流
鎖骨に溜まる汗は鉄の匂いがして
ずっと息を潜めていた熱が
おもむろに小さな笑みを浮かべた

アスフアルトに沈む小さな闇 あるいは二つの影
傲然と見上げた太陽は何故か白く濁っていた
地表を滑る粘ついた風が
硬い緑を揺らしていく

死んでもいいのと囁いて
死ねばいいんだと嘯いた
唇の奥の本音には気付かぬまま
二筋の魂だけが青空に薄れていく

青い絶望の下で八月はゆっくりと壊れてゆく
散り散りに飛び去った十四歳の欠片たち
世界など終われればよかったんです
世界など終われればよかったんです

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