金木犀/
 
わたしのからだが
一秒ずつ 剥がれて
浴槽の底に積み重なる

さわると
あかるい蛍光灯のように
熱く ひかり
はじかれたとおもうと
くたり と しおれた



彼のみぎはんぶんには、やせた女のひとが
居て、組まれすぎた指の、祈りのポーズで
いつもそこに佇んでいる。わたしは彼女の
指をはずそうと、するのだけど、張り付い
た、隙間、は、いっこうにやぶれたり、な
んて、は、しなくて、わたしはいつもすこ
し悲しい気持ちで居る。けれど、悲しい、
と言うと、彼女がもっと強固に、ひたむき
に、祈る、から、わたしは黙ったまま浴槽
に水を流す。そして剥がれる。一秒ずつ
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