無意なる旋回(改)/「ま」の字
鳥はそらをとぶ魚
地は往かず
なのになぜ
鳥のみが
寂しい風土を暗示する
海上に 白き海嘯を湧かすことなく
羽ばたき軋む骨格のゆえか
それとも
その骨奥にほそぼそと伝えられきた捕食と逃走の系譜に
飽いた髄液の寂寥のゆえか
生きること
および世界の立ちゆくことをかたちづくる なにか
かれらの運動の軌跡と現れなす
なにか
それが天空に浮かぶ船でもない
衛星(つき)でもない
まして
同郷のおんなどもを飾りなした玉(ぎょく)の環や
森に記憶(しずく)ゆすri
夥しく釣り下がる書物
また
海浜の祭礼に過ぎゆく謡(うたい)にからび
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