はやくあいたい。/朽木 裕
うとうととまどろんでいたら
夢の中に君が帰ってきてしまった。
間延びした声で「おかえり」と私は云い、
少し疲れた声で「ただいま」と君は云い、
私は起き上がって、
…起き上がって?
あれ、何かおかしい。
はっとして目を覚ますと
部屋は静かで外も静かで
「な〜んだ」
ひとり呟く。
はやく、帰ってきますように、
そわそわしながら廊下を引き返して。
もしかして
夢の中に君を忘れてきたのかも、
なんて考える。
でもまぁいいか、
待ちつかれて眠りに落ちたら
君に逢えるからね。
戻る 編 削 Point(2)