はやくあいたい。/朽木 裕
 
うとうととまどろんでいたら
夢の中に君が帰ってきてしまった。

間延びした声で「おかえり」と私は云い、
少し疲れた声で「ただいま」と君は云い、

私は起き上がって、

…起き上がって?

あれ、何かおかしい。

はっとして目を覚ますと
部屋は静かで外も静かで

「な〜んだ」

ひとり呟く。

はやく、帰ってきますように、

そわそわしながら廊下を引き返して。

もしかして
夢の中に君を忘れてきたのかも、
なんて考える。

でもまぁいいか、

待ちつかれて眠りに落ちたら
君に逢えるからね。
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